歯周病治療(歯槽膿漏の治療)
歯周病は感染症

歯周病とは、口腔内の歯周病原性細菌(歯周病を引き起こす細菌)によって引き起こされる感染症です。
細菌の活動が免疫力より強かったりすると、 歯周病は進行し、歯肉や歯槽(しそう)骨(歯の周りで歯を支えている顎の骨)などの歯周組織は破壊され、歯ぐきの健康は守れなくなります。

歯周病は「沈黙の病気」と言われ、痛みなく悪化していきます。痛みが出た時は手遅れで抜歯になることもあります。
また、歯周病原性細菌は糖尿病、心臓病(狭心症や心筋梗塞)、誤嚥性肺炎、関節リウマチ、女性では早産や低体重児出産などの全身の病気を引きおこす原因とも言われています。
<「痛くなる前に」メンテナンスを>
車には車検があります。車をあまり使用していなくても点検や、日頃からのメンテナンスによって、愛車は故障なく、調子の良い状態で長く乗り続けることができます。
歯も同じで、食事で毎日、多くの歯を使い続けています。
歯科医院での定期的なメンテナンスで、自分では手入れの行き届かない歯の汚れや歯石を取って、健康な歯ぐきを保つことができます。歯が痛くなくても、定期的に歯科医院に通って、歯ぐきの検査や歯石取りをすることが大切です。
<定期検診で行うチェック>

- 歯ぐきの健康状態
- 虫歯のチェック
- 噛み合わせのチェック
<周病治療の内容>
歯ぐきの検査

- 歯ぐきの溝(歯周ポケット)の深さ
- 歯垢や歯石の付き具合
- 歯ぐきの腫れ具合、出血の状態
歯ぐきの検査から、必要な処置をしていきます。

- 歯石取り
歯ぐきの中についた歯石を取ります。また、歯の表面を滑らかにして、歯石が再び付きにくい状態にします。 - 歯ぐきの再検査
歯石取りが終わった後に再検査をして、歯ぐきの状態の変化をみます。 - 歯ぐきの手術(歯周外科処置)
再検査で歯ぐきの状態があまり改善していない場合は、歯周外科処置を行うこともあります。
クリーニング

歯周外科処置
歯ぐきの健康が失われている場合は、精密な被せものを装着することができません。 このような場合は、歯周外科処置を行って歯ぐきの健康を回復してからきれいな被せものを装着することで、歯の健康な状態を保つことができます。


全体的に虫歯や歯周病、被せものの不適合や歯ぐきのラインの不揃いなど、多くの問題を抱えていました。
歯周外科処置によって、歯ぐきの健康と審美的な満足を得ることができました。


※ 症例には個人差があります。
根面被覆術(ルートカバーテクニック)
歯ぐきが痩せてしまって歯の根っこが見えてしまうことがあります。
このような場合は、ルートカバーテクニックで歯肉移植術を行い、 歯ぐきの高さと厚みを回復することができます。
一度、厚みを増した歯ぐきは丈夫になり、再発しにくくなります。




全体的に歯ぐきが痩せてしまっています。
このような場合でも同様に、数回に分けて行うことで、大きな改善を得ることができます。
清掃しやすい環境を手に入れることができました。


※ 症例には個人差があります。
歯周組織再生療法

従来、歯周病の治療は原因(歯石や感染歯質)を取り除いて進行を抑えるものでしたが、歯周病が進行して 炎症が歯肉の奥まで進行し、歯周組織の破壊が進んだ場合、歯周外科手術が必要になります。
その際に、現在では歯周組織再生材料(エムドゲイン)を使用し、歯周組織の再生を促す治療法が可能になってきています。
症状が重度な場合によっては骨補填材を併用することもあります。
エムドゲインゲルはスウェーデンのビオラ社で開発されたエナメルマトリックスデリバティブというもので、 歯が生えてくる時に重要な働きをする、たん白質の一種です。2005年5月現在、世界39カ国で使用されています。
歯周外科手術とエムドゲインゲルの塗布

手術の前に
歯肉の状態を調べる為に、歯周ポケットの深さを計ったり、レントゲンを撮ったり、その他治療に必要な検査を行います。
再生療法が行えるかどうかは、歯周病の程度や患者様の健康状態によっても異なりますので、担当医とよく相談して下さい。
歯周外科
手術は麻酔をかけて行います。治療する部分の歯肉を切開、剥離して歯根表面の清掃を行います。
きれいになった根面にエムドゲインを塗布し、切開した歯肉部分を縫合して手術は終了です。
手術後の注意
手術創は速やかに治癒しますが、手術部分の歯磨き等は担当医の指示に従って下さい。
手術後の感染を防ぐ為に、術後3~6週間は消毒薬などで口の中をよく洗浄するようにします。
歯周組織が再生するのに、数ヶ月から1年程度はかかります。歯周病を再発させない為には、
歯や歯の周りをいつも清潔に保つことが大切ですので、担当医の指示に従い、定期的な検査を受けるようにして下さい。